バッテリーの未来

電気自動車(BEV)に搭載されているバッテリーはほとんどがリチウムイオンバッテリー。
BEVのバッテリーの現在のポジションと未来予測。

リチウムイオンバッテリーの課題①

現在のBEVの走行距離が大きく飛躍したのは、リチウムイオンバッテリーのおかげである。リチウムインバッテリーのエネルギー密度を高くすることで、自動車メーカーは航続距離を伸ばしてきた。エネルギー密度を高くすると、コンパクトでパワーのあるバッテリーになるので、航続距離が伸びる。それだけであれば嬉しいのだが、エネルギー密度を高めると何が起こるのか、発火するのである。リチウムイオンバッテリーというのは、とても発火しやすい危険なものであるということを忘れてはいけない。マキタの電動工具の互換バッテリーが充電中の制御不足でここ数年でたくさん燃えているというのは社会問題にもなった。車のバッテリーはそれとは異なり、きちんと管理はされているが、燃えやすいという物質の基本性質は同じである。発火に対するリスク管理が難しい。

リチウムイオンバッテリーの課題②

BEVの自動車を買う場合に誰もが気になるのが長距離移動時の充電問題だと思う。近距離移動なら、自宅で充電したバッテリーの残量で問題がないが、長距離移動となるとそうもいってられない。どこかで充電するとなると充電中の時間を待たないといけない。ここはガソリン車に圧倒的な優位性がある。ではこの課題をクリアするためにはどうすればいいかというと、高出力による急速充電である。高出力の充電器を使って充電すれば短時間での充電が可能になる。ではその背反は何か、バッテリーの劣化である。高出力で短時間にバッテリーを充電するとバッテリーは劣化する。これはBEVに限った話ではなく、iPhoneでも同じだ。最近のiPhoneはUSB-PDによる18W以上の高速充電が可能であるが、これはバッテリーへの負担はかなり大きい。バッテリーへの負担を軽減するには、充電器の出力を下げる、つまり時間をかけてゆっくり充電すればバッテリーの劣化を抑えることができる。そうなると長距離移動時の充電問題が再燃してしまう。困った問題だ。

これまでに説明した2つの課題から、現在使われているBEVのバッテリーの選択肢は2極化している。

  • 高価格な高密度、高航続距離の高速充電バッテリー
  • 低価格な低密度、低速充電バッテリー

高速充電可能なハイリスクなバッテリーはパナソニック、低価格バッテリーはCATLが使われていることが多い。低価格路線ではパナソニックに勝ち目がないので、難易度が高いバッテリーで日本の技術力を見せて欲しい。

BEVのゲームチェンジャー、全固体電池

全固体電池とは、つまり液体がない電池という意味である。なぜそんなややこしい言い方をするかというと、今BEVに使われているリチウムイオンバッテリーは液体を使っているからである。

  • 既存のリチウムイオンバッテリー → 液体中をリチウムイオンが移動
  • 全固体リチウムイオンバッテリー → 固体中をリチウムイオンが移動

全固体電池になると、何が嬉しいのかというと燃えにくくて、超高速充電が可能ということである。これは、既存のリチウムイオンバッテリーの2つの課題を同時にクリアしてしまう技術ということになる。さらに低温化での能力低下もほとんどないという向かうところ敵なしの無敵のバッテリーなのである。この全固体リチウムイオンバッテリーは世界で圧倒的に日本が、トヨタが進んでいると言われている。

全固体電池は無敵なのか

全個体電池は電池の究極系、完全体なのかというとそうでもない。隠れたリスクを日本がクリアできるのかが今後の注目ポイントである。全固体電池のリスクとは皮肉にも固体であるため、割れるということである。全固体電池に使われている電極と電解質の間にクラックが入りやすいということが問題になっている。トヨタの発表によると、全固体電池のリリースは2028年頃とみられている。そうなると、既存の液体リチウムイオン電池も当然、2028年までに大きく改良されることが予想できる。自動車という乗り物の特性上、安定というキーワードは非常に重要になる。2028年の段階で、10年以上実績のある改良された液体リチウムイオンバッテリーと革命的で実績のない全固体電池、どちらを市場が支持するのかは非常に微妙な問題になりそうである。

今後の自動車業界

トヨタがテスタに株価で抜かれ、現時点では、時価総額はトリプルスコアになりそうな勢いである。
もし全固体電池が成功すればトヨタの株価はテスラを越えるかは別として、確実に上昇すると思っている。私は、トヨタの技術力を信じ、今後もトヨタに投資、応援していきたいと思う。

投資に関するInfomation

注目する会社の時価総額と利益率

トヨタ(7203) 43.2兆円 / 7.3%
テスラ(TSLA) 112兆円 / 17.0%
ホンダ(7267) 9.1兆円 / 4.6%
三菱(7211) 0.78兆円 / 7.7%

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